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飯豊山の考古学的調査報告

〜飯豊の考古学的な調査は始めてで画期的なことです〜


福島県教育委員会(教育庁文化課文化財主査)長島雄一様より、飯豊山の考古学的調査報告の成果及び写真をいただきましたので原文のまま報告します。(敬称略)
このページ中のご質問等は→長島雄一様Eメールアドレス cdd12570@hkg.odn.ne.jp までお願いします。


期日 2000年8月17日〜20日
主催 山の考古学研究会
代表 菅谷文則(滋賀県立大学教授)
参加者 同会メンバー 15名  長島雄一・渡部満(山都町在住)
コース 8月18日
山都町御沢登山口〜下ノ十五里〜中ノ十五里〜上ノ十五里
笹平〜横峰〜剣ケ峰〜三国小屋〜七森〜種蒔山〜切合小屋(泊)
8月19日
切合小屋〜草履塚〜姥権現〜(鍛冶跡)〜御前坂〜一王子
〜二王子〜三王子〜飯豊山神社〜飯豊本山〜胎内くぐり
〜本山〜往路を帰る〜地蔵山(血の池・地蔵)〜御沢

主な成果
  1. 古銭の採集:全部で100枚近い古銭を登拝路から採集しています。寛永通宝が95%を占め、江戸時代の信仰登山を証明していますが、中にはいわゆる古寛永があり、江戸初期からの登拝が推定されます。また初めて北宋銭が採集されました。これにより、江戸期より古い時代に信仰登山が遡る可能性がでてきました。分布を見ると険しい岩場、あるいは岩場前後が多く、無事を祈願してあるいは無事に通過した御礼として蒔いたと考えられます。
  2. 鉄剣の発見:剣ケ峰にある浅い洞から鉄剣が採集できました。他に鉄鏃(鉄の矢じり)も含まれており、これから保存処理をして詳しい調査をします。
  3. 鍛冶跡の発見:姥権現から御前坂にかけての平場には石組みをもつ小屋跡がありますが、中から鍛冶の時に生じる鍛冶滓(製鉄の際に出るカス)がありました。ここで小さな鍛冶屋をしていたことが明らかになりました。また同位置からは「先祖代々之墓」と記された墓石も見つかりました。これは代々鍛冶を生業としていた人物あるいは家があったということです。散在する信仰のための剣などを作っていたと考えられます。
  4. 年号の発見:草履塚に立っている大きな鉄剣の存在については知っておられることと思います が、詳細に調査したところ、年号が刻んでありました。「文久二年」(1862年)でした。幕末頃の刀です。いつから立っていたかはわかりませんが、とにかく138年前の刀です。貴重な資料になりました。こう書くと持って行かれるのではないかと心配です。皆さんを信頼します。まずは山都町の指定文化財とし、守りたいと思います。
  5. 胎内くぐりの確認:飯豊本山から御西方向に10分ほど行ったハイマツ地帯にそれはあります。いくつもの岩が重なり合う隙間を使っています。中からは古銭が採集できます。俗界に汚れきった私もはいずりながらくぐり、生まれ変わってきました(笑)。                               

主な成果を写真で紹介 (地図の番号が写真の番号に合致します)

地図

剣ヶ峰01 @剣ケ峰での鉄剣の発見
人が立っている脇の岩に空洞部分があり、そこに鉄剣の破片があります。
剣ヶ峰02 A鉄剣を採集する長島。
下にも落ちています。
剣ヶ峰03 Bこういう状態で鉄剣などが落ちていました。
右が穴の奧方向です。
種蒔山 C種蒔山にある「御田(おた)」 
小さな池塘を昔の人は田に見立て、秋の収穫時に登ってきてその年にとれた米をここに蒔いて感謝しました。そして来年の豊作も祈ったのです。
草履塚01 D草履塚頂上に立つ鉄剣。
今年は草履が納められていました。残雪が多いのがわかりますか。
草履塚02 E山の考古学会のメンバーと。
大きさがわかると思います。
彼は奈良県の信仰の山、大峯山研究の第一人者。奈良市教育委員会の森下恵介氏です。
草履塚03 F鉄剣には文久二年(1862年)の銘が刻み込まれていました。
一王子01 G一王子の遺構。
この石組みに建物が建ち、中に現在麓の飯豊山神社に祀られている「五社権現」が納められていました。
一王子02 H一王子の内部。
方形に石組みがされています。
コーナーの穴に仏像が立っていました。
胎内くぐり01 I胎内くぐりの遺構。
飯豊本山から御西岳方向に10分ほど下った斜面にあります。
登山道からははずれます。大岩がゴロゴロしています。
胎内くぐり02 J胎内くぐりの様子。
私が出てきました。生まれ変わった瞬間です(笑)
胎内くぐり03 K出たあ・・・・中からは古銭が拾えます。
入口は狭くやっと一人が通れる位。
血の池 L帰路立ち寄った「血の池」(地蔵山)
地蔵 M血の池のすぐ脇に立つ地蔵

貴重な調査報告、写真等を提供していただきました長島様に感謝いたします。

こちらにもお立ち寄りください。「飯豊山と福島県の山」
実際に自分で歩いた飯豊連峰のガイドと飯豊山信仰について→


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